デジタル人民元の基本を紹介

デジタル人民元とは?

デジタル人民元は、中国人民銀行が発行するデジタル形式の法定通貨であり、新しい決済手段です。 では、デジタル人民元のシステム構成や製品はどうなっているのでしょうか。本稿では、デジタル人民元について紹介します。

デジタル人民元アプリ

デジタル人民元は長い間試験的に導入されてきましたが、ほとんどの人にとってまだなじみのないものです。

目次

1, デジタル人民元

定義

デジタル人民元(英語略称:e-CNY)は、中国人民銀行が発行するデジタル形式の法定通貨で、指定事業者の参加により一般向けに運用・換金されます。

2022年11月01日現在、指定事業者は中国工商銀行、中国銀行、中国農業銀行、中国建設銀行、交通銀行、中国郵政銀行、網商銀行(アリペイ)、中国招商銀行、微衆銀行(テンセント)、興業銀行 で、今後、より多くの商業銀行の運用の参加が予定されています。

指定商業銀行

特徴

デジタル人民元は、現金M0を補完するものとして、広義の勘定制度に基づいており、物理的な人民元(紙幣や硬貨)と同等の特性をもちます。

デジタル人民元口座ウォレットの特徴

チャージ/デポジット機能:個人が保有するデジタル人民元口座から銀行口座への送金、またはバインドされた銀行口座からデジタル人民元口座への入金を行うことができます。

ウォレット同士でデジタル人民元の交換・送金も可能です。

発行の目的

デジタル形式の現金に対する国民の需要に応え、新しいデジタル決済の手段を増やすことを目的に発行されました。

リテール決済における公平性、効率性、安全性のために、デジタル人民元は普遍的な決済手段を提供することで、決済手段の多様性を増やします。また国際的なクロスボーダー決済の改善にも積極的に対応し、模索しているところです。

2, システム全体の構成

システム構成

デジタル人民元システムの全体構成の中核となる要素を一言で表すと、「1つの通貨、2つのデータベース、3つの中心」です。

1つの通貨とは、中国人民銀行が保証し署名した特定の金額を表す暗号デジタル文字列を指します。2つのデータベースとは、中国人民銀行DC/EP基礎データベースとDC/EP商業銀行のデータベースを指します。

3つのセンターは以下の機能を指します。

  1. 登録センター:発行、譲渡、差し戻しの全過程の登録を担当し、分散型台帳サービスにより、人民銀行と商業銀行間のデジタル人民元所有情報の整合性を確保する役割を担います。
  2. 認証センター:ユーザーのID情報を一元管理する役割を担います。システムのセキュリティ基盤を形成し、かつ匿名性を制御するための重要なノードです。
  3. ビッグデータ分析センター:KYC、AML、支払行動分析、規制指標分析などの機能を担います。
デジタル人民元システム構成図

運用枠組み

デジタル人民元の全体的な運用の枠組みは、「中央銀行-商業銀行/商業銀行-国民」の2層構造です。人民銀行はデジタル人民元の発行、取消、機関間相互接続、ウォレットプラットフォーム管理などを担当し、大手国有銀行や商業銀行はデジタル通貨交換サービスの提供を担当しています。

設計原則

法令遵守、安全性と利便性、開放性という設計原則に基づき、デジタル人民元は物理的な人民元と電子決済手段の両方の利点を考慮して設計されました。

デジタルウォレットはデジタル人民元をユーザーが使用するための媒体として一般に発行されました。

3, 製品形態

発行・交換コストの削減

デジタル人民元は、発行と交換のコストを大幅に削減します。 人民元のデジタル口座システムが構築されれば、既存の紙幣の発行や交換にかかる高いコストは大幅に削減されると予想されます。人民元のデジタルシステムに関わる運用・保守コストは年々減少していく予定です。

決済としての支払い

デジタル人民元は、現金紙幣に比べて流通過程の透明性と効率性を高めることができるため、企業の決済や中央銀行による資本フローの監視の効率性を効果的に高めることができます。

匿名でのオフライン交換が可能

デジタル人民元の口座は疎結合のため、ユーザーはデジタル人民元ウォレットを既存の銀行口座に紐付けるか、デジタル人民元ウォレットだけの作成を選択できます。従来の銀行口座システムから独立して使用することができ、オフラインでの匿名交換も可能です。

双方がオフラインでの決済が可能

デジタル人民元は、支払い側と受け取り側の両方がオフラインで決済が可能な「双方オフライン決済」をサポートしているため、現金決済と同じく完全にオフラインの状況でも交換が可能という利点を実現しています。インターネットへの依存から解放し、特定の利用シーンに直面した場合でも決済することができます。

まとめ

ここまでデジタル人民元の基本情報を紹介しました。

長い試験期間を経て、少しずつ使えるところが増えている実感があります。デジタル人民元は物理的な現金のデジタル版だと理解できます。

次回はデジタル人民元とほかの決済サービスとどのような違いやメリットがあるのか紹介していきたいと思います。

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