前回の”デジタル人民元の基本”の記事では、デジタル人民元の概要を紹介しました。本稿ではデジタル人民元がその他の電子マネーとの違いを紹介したいと思います。
1, 他の電子マネーとの違い
定義と発行上の違い
通貨として
デジタル人民元は、中国人民銀行が発行する、銀行券や硬貨と同等の法定通貨であり、流通貨幣(M0)に位置づけられ、基軸通貨のカテゴリーに属し、法的地位は現金と同じです。
比較として、アリババやテンセントに代表される電子マネーは、企業が提供する支払サービスのため、仮に企業が破産した場合、チャージした電子マネーを取り戻すことができない可能性があります。
発行管理面
デジタル人民元は中国人民銀行が発行し、指定事業者がデジタル人民元の運用と交換サービスを担当します。管理可能な匿名性を持ち、二層運用方式の中央銀行ハイブリッド型デジタル通貨です。
利用ユーザー
デジタル人民元は、個人や企業など、日常の幅広い取引シーンで利用することができます。
決済面
デジタル人民元はデジタルの形で存在し、独自の価値を持ちます。国家信用によって担保され、銀行口座と疎結合しています。そのためデジタル決済手段として利用することができ、匿名取引にもある程度対応することができます。
デジタル人民元と他の通貨や電子マネーとの違い比較表
2, 開設から利用の違い
まずは個人用ウォレットと企業用ウォレットに分けられます。
個人のデジタル人民元ウォレットは、ユーザーの登録情報によって5つのウォレットカテゴリーレベルに分けられます。
企業は設立主体によって親ウォレットをソフトかハードかで区別されます。詳しくは今後の記事で紹介します。
個人用ウォレットは、ユーザーが認証した情報によって5つのカテゴリーに分類され、各カテゴリーにおける残高上限、1回の送金限度額、1日の累積限度額、年間累積限度額が違います。認証認証方法は下表のとおりです。(金額はすべて人民元)
ウォレットには、親ウォレットとサブウォレットの2種類があります。
親ウォレットは認証に主体者の情報を必要とし、サブウォレットは親ウォレットに付属しており、同一主体者が一つの親ウォレットの下に複数のサブウォレットを開設することが可能です。それぞれのサブウォレットに異なる権限を与えて使い方をあらかじめ制限することが可能です。
3, 現金や第三者サービスとの比較とメリット
デジタル人民元は、現金や第三者決済サービスと比較して、決済としての支払いが可能、双方オフライン決済、プログラミングの拡張性といったメリットを備えています。 中でも、デジタル人民元の決済の取引手数料は0であり、T+0の即日決済に対応しています。第三者サービスを利用する場合、金額に応じて手数料が発生します。
まとめ
デジタル人民元の特徴とメリットを紹介しました。
現金や既存の第三者決済サービスと比較すると、デジタル人民元の特徴がよくわかると思います。また、デジタル人民元はまだ発展途上の電子マネーです。今後プログラミングによる拡張性も一般に広まり利用されることで、今までなかった便利な機能やサービスが生まれるかもしれません。
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